ISO9001品質システムにVB5添付ツールを適用する

−ATSとVSS−

Updated 1997/10/03

By 富士通SSL)福岡寿和


障害管理
構成管理(版数管理)
おまけ


Visual Basicは、バージョンが進むにつれて個人的なプログラムを作るツールから企業の基幹システムを作るツールに成長してきました。
それにあわせて、Microsoftは、Enterprise版を投入して、Visual Basic自体の機能強化と共に、様々な添付ツールを提供してきました。

そして、Visual Basic 5.0 Enterprise版にも

の2つのツールが添付されています。

現在、ソフトウェア産業では、ソフトウェア品質管理手順を規格化した国際規格ISO9001の認定取得がブームになりつつあります。
このISO9001は、日本では、JQAにより審査が行われ、その審査に合格すると認定企業としての資格が与えられます。

ISO9001シリーズの特徴は、

などの手順を文書化して、その手順に従って作業を行えば、誰でも同じ作業が行える(≒一定の品質が実現できる)ことを目標としていることです。内容的には多かれ少なかれ誰でも実施していることだと思いますが、きちんと文書化して確実に実施していることを確認していく点がISO9001は重要視しています。
私の会社がISO9001を取得したときに感じたことですが、ISO9001取得のポイントはこの手順をいかに省力化するかによるところが大きいと思います。それは、省力化を念頭において手順を設定することももちろんですが、ツールを活用して手順を自動化することで省力化することも考慮した方がよいでしょう。
ツールの活用を考えたとき、Anomaly Tracking Systemで障害管理、Visual Source Safeで構成管理を行うことが考えられます。

障害管理
Anomaly Tracking System(ATS)

ISO9001の障害管理とは、ある障害の発生から修正、修正確認までを管理する手順です。
この管理を行えば、現在の制限事項や障害状況、過去に発生した障害が解消されているかなどが明確になり、障害傾向の分析や障害是正具合の判断ができる利点があります。
ATSは、いまだ日本語版が発売されていないMicrosoft Visual Fox Proで作られた障害追跡システムで、ISO9001障害管理に対応可能なツールです。

構成管理(版数管理)
Visual Source Safe (VSS)

ISO9001の構成管理とは、ソフトウェアのあるバージョンに関わる構成要素(EXEファイル、ソースファイル、定義ファイル、データファイルそしてドキュメントなど)を識別し、いつでも任意のバージョンの構成要素を取り出せるように管理する手順です。
この管理を行えば、あるバージョンにソフトウェアに障害が発生したときの修正範囲などが明確になる利点があります。
VSSは、ファイルの修正履歴をVSSデータベースで管理するバージョン管理システムで、ISO9001構成管理に必要な版数管理を省力化してくれます。

また、ISO9001では文書を管理するときに、文書のバージョンを管理して、各バージョン間の変更内容を追跡できるようにします。そして、開発プロジェクト全体が同じ文書を参照するような仕組みも必要です。このISO9001文書管理についてもVSSが使えます。

VSSの特徴は、Windowsで扱えるファイルをVSSプロジェクトという単位で管理する点です。そして、最上位のVSSプロジェクトをルートプロジェクトと呼び、$/で表し、その下に階層的にVSSプロジェクトが作れることも重要な点です。
しかし、プロジェクトという名前は、開発、Visual Basicでも使われていて、その意味が微妙に異なるので混同しないように注意してください。
ここでは、VSSプロジェクト、開発チーム、VBプロジェクトと明記することで混乱を避けたいと思います。

  1. VSSデータベース
    VSSデータベースは、CDROMからインストールすれば、そのインストール先に自動的に作られます。
    VSSデータベースは、ローカルディスクとファイルサーバーの共有ディスクのどちらにでも作れます。
    ただし、グループで使うことが前提ならファイルサーバーの共有ディスクに作った方が良いでしょう。さらに万全を期すなら、ファイルサーバーをWindows NTとして、その共有ディスクをATコマンドなどを使って、DATなどにデイリーバックアップするように設定します。

  2. VSSアドミニストレータの使用法
    VSSを開発チームで利用するときや部門で利用するときは、VSS管理者(グループでも可)を選出するとよいでしょう。
    VSS管理者がVSSアドミニストレータを使って、ユーザーの管理やVSSプロジェクトの権限設定、VSSプロジェクトのバックアップを担当することで、ISO9001構成管理の作業についての開発チームのメンバやリーダーの負荷はかなり軽減されると思います。

  3. VSSエクスプローラを使う
    VSSエクスプローラのインストールは、CDROMではなく、VSSデータベースを作った共有ディレクトリ上のNetsetup.exeを使うのがよいでしょう。

    図15 VSSセットアップ画面

    Netsetup. exeを使ってインストールするとそのVSSデータベースをデフォルトとして登録します。
    VSS4.0のときは、データベースの切り替えはVSS.INIを直接変更する必要があったので、共有ディレクトリからインストール方法はほとんど必須な手順でした。
    VSS5.0では、VSSログオンでデータベースを切り替えることができますが、VSS5.0でも共有ディレクトリからインストールした方が簡単です。

    図16 VSSログオン画面

  4. Visual Basicから使う
    VSSをインストールした後にVBプロジェクトを開くと確認メッセージが表示されて、VBプロジェクトをVSSプロジェクトとして追加できます。
    また、Visual Basic5.0の[ツール]メニューに[Visual Source Safe]メニューが追加されます。
    なお、VSSの[Visual Basic]ファイルグループにはなぜかユーザーコネクションデザイナやフォームデザイナのファイルの種類が登録されていないので、VSSアドミニストレータの[ツール]/[オプション]の[ファイルの種類]タブで、*.dsrや*.dsxを追加しておくのが良いでしょう。
    また、VSSプロジェクトにVisual Basicで自動的にファイルの新規追加やチェックインを行うとLISTALL.vbpのようなファイル名の英小文字がすべて英大文字に変換されてしまいます。ファイルの新規追加は、VSSエクスプローラで追加、Visual Basicのプロジェクトエクスプローラでチェックインを行えば、そのままのファイル名でVSSプロジェクトに反映されます。
    また、英大文字に変換されたときは、VSSエクスプローラでVSSプロジェクト中の名前を変更し、ファイルエクスプローラで作業ディレクトリ上の名前も変更してください。

おまけ
リポジトリブラウザについて

Visual Basic 5.0の特徴の一つにリポジトリ(Microsoft Repository)という考え方を導入した点があります。このリポジトリを扱うツールがリポジトリブラウザで、Visual Basic 5.0 EnterpriseのCDROMの\tools\Repostry\Browserにあります。リポジトリを使うとあるバージョンの実行ファイルに関連するドキュメントのバージョンやActiveXコントロールのバージョンなどを識別できます。ISO9001で構成管理するときは、本当はこのレベルまで管理します。
ただ、このリポジトリブラウザはOEM版で、製品版はCrescentのProBrowserというものだそうです。Visual Basicを使う上での基本「OEM添付ツールはおまけ!」の原則に基づいて、このProBrowserを入手しようと思い、Visual Basic 5.0のOnline Bookを眺めていたら、日本での問合せ先は、「文化オリエント」と明記されていました。これは、日本語版があるのかと問い合わせたところ、「日本語化は未定。英語版のProBrowserもまだ発売していないかもしれない。」との回答を頂きました。
現状では、リポジトリという仕組みだけが存在し、それを扱うツールやVisual Basic 5.0の開発環境から使う方法も確立されていない気がするので、今回は詳細の調査を見送ることにしました。

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